研究室情報【進学、研究生、共同研究等希望者等向け】

西田亮介研究室について (about Dr. Ryosuke NISHIDA's Lab.@titech)
東京工業大学環境・社会理工学院社会・人間科学系 社会・人間科学コース 西田亮介研究室の研究室情報です。
研究室(修士課程、博士課程)への進学、研究生の希望者は、よく読み、 原則として、
十分な時間的余裕をもって事前に連絡し、 個別面談を受けて下さい(海外、遠方在住等の場合はSkypeなどでも可能です)。
(日本語)

(English)

オンラインサロンを始めました。初月無料、社会人2000円/月、学生1000円/月。平日毎日更新。週1選書。月1読書会。
「西田亮介の新書、文庫、雑誌で始めるリベラルアーツゼミ」

2013年5月31日金曜日

朝日新聞「ソーシャルA」委員になりました&ネット選挙についてのコメント記事が朝日新聞デジタルに掲載されました

朝日新聞が、6月2日より紙面とデジタル連動で行う企画「ソーシャルA」の委員となりました。またそれにともなって、下記のコメント記事が公開されました。隔月計6回、企画があり、それにともなってつぶやきなどを行います。いまいち委員の全容など公開されておらず、やや謎な感じも否めませんが、今後ともよろしくお願いします。

「(ソーシャルA)「ネット選挙、まだ手探り」西田亮介氏」(2013年5月28日)
http://www.asahi.com/special/news/articles/TKY201305260133.html

2013年5月30日木曜日

何が政治への関心を高め、投票率を上げるのか

つい先日、サイバーエージェントグループの企業が、新しく始めた「女性のための政治番組」の仕事があった。
「2013年5月28日サイバーエージェントの「アメスタ」第1回で、びびる大木さん、千秋さん、くみっきーさんと、ネット選挙解禁を考えました。」
http://ryosukenishida.blogspot.jp/2013/05/20135281.html
テーマは「ネット選挙解禁」だったのだけど、「そもそも「選挙運動」と「政治活動」の違いというのがあって・・・」とか「選挙運動においてネットは相当自由な利活用が認められるになったけれども他の媒体は制限かかったままですね、でも広告費を見るとネットの存在感も大きくて・・・」いう話も含めて、わりと丁寧に丁寧に説明することを試みたのだけど、なんとなくそういう仕事って、代表格は池上彰さんとかになるのかもしれないけど、もっとあってもよいのかもしれないと思った。そもそもネット選挙(運動)が解禁になっても、流れてくる情報を咀嚼できなければ投票したりしないわけで。実際、出演者のくみっきーさんも「政治は言葉が難しい」と繰り返していた。

こういうと「有権者も勉強しろ」という声があったりするかもしれず、それはそれで無論正論ではあるけれど、現状を見るかぎり、到底、政治・政局をざっくり理解できるような説明が十分なされているとはいえない。そもそも選択科目で履修しなければ高校でさえ、こういった仕組みを教わることはないし、ましてや政局については教わる機会さえ無い。

というわけで、ネット選挙解禁でむしろ各メディアは具体的な政党や候補者名に踏み込みつつ、そんなコンテンツをたくさん作って欲しいなあ、と。各メディアの動向を見るかぎり、政治家、政党へのPRやマーケティングの売り込みばかりが目立つけれど、むしろそういった「0からわかる〜」「具体的にわかる〜」「1時間でわかる〜」といった、政治コンテンツが増えれば、少しはネット選挙解禁が日本の民主主義の改善に貢献するのでは、などと思った先日のメディア出演でした。

2013年5月29日水曜日

2013年5月28日サイバーエージェントの「アメスタ」第1回で、びびる大木さん、千秋さん、くみっきーさんと、ネット選挙解禁を考えました。

サイバーエージェントグループの「アメスタ」という動画サイトで、「女性のための政治を考える月1回バラエティ」をコンセプトにした番組「イイタイみんなと、キキタイ先生」が始まりました。その記念すべき(たぶん)第一回に読んでいただき、びびる大木さん、千秋さん、モデルのくみっきーさんとネット選挙を考えました(以下、プレスリリース)。
「AmebaStudio(アメスタ)」、女性のための政治バラエティ番組を放送開始ビビる大木、千秋がMCを務める「イイタイみんなと、キキタイ先生」
http://www.amesta.co.jp/news/2013/0527.html
アメーバのシステムでは「分かりやすい」と、比較的好評だったと聞いております。また、ずいぶん多くのユーザーの方に視聴いただいたようです。ご一緒したみなさんには、拙著もお渡ししてきました。



なんというか、社会、政治の問題を分かりやすく話すことというのは、案外重要な仕事かもしれないと改めて考えさせられました。
どうでもいい余談ですが、サイバーエージェントはミネラルウォーターも作ってるんですねー。



2013年5月28日火曜日

『ネット選挙 解禁がもたらす日本社会の変容』Kindle版も発売されます。

昨日から献本第1弾が始まり、ブロガーのイケダハヤトさんが最速書評を挙げてくれた拙著です。
「加熱する「ネット選挙ビジネス」。「ツイッターはお金は掛からない」って誰が言った?」『i.Hayato書店』
http://www.ikedahayato.com/index.php/archives/24146

正式には週末に書店販売開始ですが、Kindle版も同時発売になり、予約が始まりました。下記リンクよりあわせてよろしくお願いします。

http://www.amazon.co.jp/%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E9%81%B8%E6%8C%99-%E8%A7%A3%E7%A6%81%E3%81%8C%E3%82%82%E3%81%9F%E3%82%89%E3%81%99%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%81%AE%E5%A4%89%E5%AE%B9-ebook/dp/B00D10C1X0/ref=sr_1_3?s=digital-text&ie=UTF8&qid=1369675342&sr=1-3&keywords=%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E9%81%B8%E6%8C%99

2013年5月27日月曜日

6月3日(月)19時〜西田ゼミ@GACCOH登録フォーム

恒例の西田ゼミ@GACCOH登録フォームです。GACCOHさんの場所等も登録フォームの説明にあります。

次回は「日本型の社会システムと新しい働き方」。

https://docs.google.com/forms/d/1NKK1A6HI_pBYpW8Fu0dWH5JE8KuVwv6CbfFBn4iQhC8/viewform

2013年5月26日日曜日

情報ネットワーク法学会の「ソーシャルメディア時代の情報流通と制度設計」第2回討議



今春より情報ネットワーク法学会のソーシャルメディア研究会とデジタルジャーナリズム研究会の合同研究会「ソーシャルメディア時代の情報流通と制度設計」に参加しています(名前長い)。

西田亮介,2013,「ソーシャルメディア時代のメディア・リテラシーのトリレンマ?
――情報収集量の増大・個人的志向の追求・視座と情報源の多様性」@「情報ネットワーク法学会『ソーシャルメディア時代の情報流通と制度設計』第2回討議」(2013年5月25日@(株)Yahoo! JAPAN).

ソーシャルメディアが普及した時代に、メディアや主体、ビジネスはどう変化するのか、技術者や実務家、法学者のみなさんと検討しています。

5月25日は第2回討議でした。
http://in-law.jp/bn/2013/20130525.html

メインの報告者がいて、全員が報告し、ひたすら議論を行う、ハードなもののなかなか楽しい研究会です。

ちなみに告知していない気がしますが、第1回(http://in-law.jp/bn/2013/20130427.html)から参加しています

西田亮介,2013,「ソーシャルメディア時代の予期と信頼、メディア、そして政策過程の関係性」@「情報ネットワーク法学会『ソーシャルメディア時代の情報流通と制度設計』第2回討議」(2013年4月27日@駒沢大学).




「なぜ鯖江市は公共データの公開に積極的なのか ―協働推進と創造的な行政経営、地域産業構造の変化の視点から 」@情報社会学会2013年度年次研究大会


情報社会学会の研究大会で報告しました。最近オープンデータやオープンガバメントで何かと取り上げられる機会が増えた(ぼくも『ニッポンのジレンマ』等でも紹介して来ました)福井県鯖江市が、従来さほど情報化が進んでいたわけではない自治体で、なぜ公共データの公開に積極的に取り組むようになったかという問いを掘り下げました。一言でまとめると、情報化とは一見無縁な協働推進や創造的な行政経営(ガバナンス)、眼鏡産業の競争力低下という地域産業構造の変化のなかで、地域の需要やニーズにもとづいて、オープンデータを選び取っていったということになります。

西田亮介・小野塚亮,2013,「なぜ鯖江市は公共データの公開に積極的なのか ―協働推進と創造的な行政経営、地域産業構造の変化の視点から 」情報社会学会2013年度年次研究発表大会@東京大学本郷キャンパス(2013年5月25日).

http://infosocio.org/general_meeting_2013_pr.html

(本論文は研究ノートとして学会誌に再録されており、ウェブで公開されるはずです)

2013年5月23日木曜日

日本の研究大学を先導する「RU11」が、高等教育行政への提言を公表:「日本の国際競争力強化に研究大学が貢献するために(提言)」

日本の研究大学を先導する「RU11」が、高等教育行政への提言を公表した(以下は、慶應のリンクから)。

「日本の国際競争力強化に研究大学が貢献するために(提言)」
http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2013/kr7a4300000c1a7x.html

日本には、国公私立大学あわせておよそ750程度の大学がある。大学にはおおまかにいえば、教育、研究、(産官学連携等含む広義の)社会貢献等の役割があるが、「研究大学」というのは、そのなかでも研究を中核としているグループで、さらにこの「RU11」というのは相対的に、国内大学の中で国際的競争力を持つと考えられている大学のグループだ。もちろん個別には優秀な研究者や研究主題は各大学に存在するけれど、概ね大学全体として研究大学を標榜している大学は、あまり多くない。たとえば本学などは、2020年の「グローバル研究大学」化を目指して、多くの施策を実施している。

「未来をつくる R2020 -立命館学園の基本計画- 前半期(2011 年度から 2015 年度)の計画要綱」
http://www.ritsumei.ac.jp/mng/gl/so-ki/vision_r2020/pdf/r2020-keikakuyoukou.pdf

人口減少、若手のポスト問題、迷走する高等教育行政等、多くの困難がとりまく日本の大学業界で、日本の研究大学を先導するグループは何を提案したのだろうか。大項目は以下の2点である。
・ 競争的資金を含む、国の全ての研究・教育補助金・委託費における間接経費率の最低30%の実現 
・ 基盤的経費(国立大学法人運営費交付金・私立大学等経常費補助金)の削減停止・充実
各論では、大学の現状と、改正労働契約法が、より若手や非正規雇用の研究者を圧迫していることなども取り上げています。研究大学にかぎらず、多くの大学関係者に関係する話題であり、なおかつ現在の大学が置かれた環境を定量的に知るためのデータも多く充実した資料です。まずは概要版だけでも、多くの人にご一読いただきたい内容です。

「日本の国際競争力強化に研究大学が貢献するために(提言)」
http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2013/kr7a4300000c1a7x.html

2013年5月22日水曜日

2013年6月19日(水)19時〜 @genroncafe [ゲンロンスクール]西田亮介「政策の想像力/創造力」序論 第2回(全3回) #genroncafe

2013年6月19日(水)19時〜 第2回のゲンロンスクールがあります。ゲンロンスクールは参加者が可視化されるため、話者には暗黙の、すさまじいプレッシャーがかかります苦笑

初回は抽象的な話に終止して、すっかりネット選挙を積み残したので、第2回はひたすらネット選挙をやります。むしろ、1.5時間でわかるネット選挙的な勢いを目指しますので、ご都合会う方はぜひ。各地のアフィリエイトカフェさんでも中継が入るようなので、遠方の方はそちらもご参照ください。

申し込みは下記リンク先からお願いします。
[ゲンロンスクール]西田亮介「政策の想像力/創造力」序論 第2回(全3回)
http://peatix.com/event/12705

第3回西田ゼミ@GACCOHさん(地域振興)を開催しましたよ

5月20日に京都は出町柳の@GACCOHさんにて、第3回の自主ゼミを行いました。今回のお題は地域振興。ざくっとした概論からはじめて、『日本2.0』論文でも書いたような、この数年の消費と統治という問題意識について話して、議論に突入。京大の院生との激論があったり、地元に帰って選挙での出馬を考えている人がいたり、なかなか白熱しました。個人的な感想ですが、「地域」というイシューがこんなに関心を持つ人たちがいるのか、と驚きです。ぼくがネット論壇(?)的な仕事をし始めたころは、地域への関心は盛り上がってたとはいえないからです。この数年、地域政党や関連する主題がいろいろ起きたことも関係するのでしょうか。またやりましょう。とまれ、次回も6月3日(月)19時〜@GACCOHさんです。また近々、フォーム作りますので、そちらから登録して下さい。

とはいえ、本質的には(自主)ゼミの本質は、特定の知識の獲得ではなく、継続的な(いいかえれば信頼できる)メンバーと継続的に多様な主題で議論をすることで、「自身の議論の型」を練り上げることにあるでしょう。すくなくとも、と思うので、イシューに限らず、継続して参加していただけると嬉しいです。実際、そういう人も増えてきたような印象です。

また、@GACCOHさんの寛容かつ明るい雰囲気や、『「統治」を創造する』を一緒に書いた京大研究員の吉野さん、ライバル(?)同志社の某先生や、盟友某先生、メディア記者の某氏なども、がっつり議論の強度を挙げてくださっており、学生、院生の極力負担を減らしたいというぼくの要望をうけてイヤな顔ひとつせずご参加くださる社会人のみなさまの強力のもと、大変よい雰囲気で進んでおります。学生、院生のみなさんはいっそう知識と議論を通じたコミットメントを楽しみにしています。

(撮影は、@GACCOHこと太田さん)

【5月26日更新】
そして6月3日の登録フォームです。
https://docs.google.com/forms/d/1NKK1A6HI_pBYpW8Fu0dWH5JE8KuVwv6CbfFBn4iQhC8/viewform

『週刊エコノミスト』誌にネット選挙関連の論文を寄稿しました&表紙に題目が掲載されました(初めて)

『週刊エコノミスト』5月28日号に、ネット選挙関連の論文を寄稿しました。「エコノミスト・リポート」という特集で、4pぶち抜きです。また、表紙に論文題目が掲載されるという、ちょっと名誉な展開もありました。こういうのは嬉しい(名前が出ればもっと嬉しい)。

西田亮介,2013,「7月参院選から導入 ネット選挙は『理念なき解禁』多くの誤解を生んでいる」『週刊エコノミスト』91(23): 92-5.




来週末には拙著も書店に並ぶと思いますので、そちらもぜひ。



2013年5月19日日曜日

ヤフトピのすごさ

先週の金曜日、

ネット選挙解禁で、有権者にとって何が変わるのか?(上)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ryosukenishida/20130517-00025014/

ネット選挙解禁で、有権者にとって何が変わるのか?(下)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ryosukenishida/20130517-00025015/

というエントリが、いわゆるYahoo!トピックスにピックアップされるという希少な体験をしたのだけど、そのインパクトたるや、2日で◯万pvとなり、日本最大のポータルサイトの直接的な影響を体験させていただきました。感想とか罵詈雑言含めて、がんがんソーシャルメディアにも流れていて、そりゃ、これはpvとかアクセス数稼いで暮らしている人たちが血眼になって、ヤフトピに取り上げてもらうべく日夜ネタを考えることの意味がちょっとわかりました・・・

ぼくが気になっているのはその次の展開で、個人的な感触では、たとえば、某BLOGOSさんの場合、ピックアップになったりすると、他のメディアの人が見ているのか、よく派生の仕事が来たりする。今回は週末を挟んでいて、一般的な企業がお休みなので、どんな影響があるのかまだ見えていないけど、やはり間接的な波及効果のようなことがありえるのだろうか。自分を観察対象にしつつ、そんな展開を心待ちにしつつ、ああ、日曜の夜が更けて、月曜日がやってくるなあ、などと思う今日このごろであります・・・

2013年5月18日土曜日

ネット選挙解禁で、有権者にとって何が変わるのか?


すでに繰り返し報道されているように、今春公職選挙法の改正が行われ、2013年7月の参議院選挙から「ネット選挙」が解禁される運びとなった。日本の政治で「ネット選挙」が主題になったのが、1996年に当時の新党さきがけが旧自治省に問い合わせを行ったことがきっかけであるから、実に20年来の課題にひとつの結論が出たことになる。

とはいえ、今回解禁となったのは「ネット選挙」という語感から想像される、パソコンや携帯電話から投票する電子投票のことではない。正確には、「選挙運動において、インターネット・サービスの利用が(電子メールの利用やバナー広告の利用(の一部)などを除き)部分的に可能になる」ということである。日本の選挙制度では、特定の選挙における投票を呼びかけたりする「選挙運動」と、一般的な政治に関連する活動を意味する「政治活動」が区別されており、従来選挙運動にインターネット・サービスを用いることはできなかった。

詳細は拙著『ネット選挙 解禁がもたらす日本社会の変容』(東洋経済新報社)でも述べたが簡潔に記しておくと、日本の選挙制度を規定している公職選挙法は、第2次世界大戦後の復旧・復興最中の1950年に生まれた法律である。当時、いまだ戦争の爪痕が色濃く残っており、物資が逼迫し、その価格は高騰していた。また戦後の混乱期に乗じた、贈収賄も懸念されていた。いわゆる金権政治に対する懸念である。そのような状況の下、公職選挙法は、財力がある者が、高価な紙を大量に買い占めて選挙で有利になったり、贈収賄を防止することが主眼に置かれていた。「ザル法」などと呼ばれる運用の実態はともかく、候補者が極力均等な条件のもとで、選挙運動を行うことを目的とした。選挙運動については、利用(「頒布」「掲示」)できる媒体の大きさ、枚数等を指定するという形式を取っている。

公職選挙法上、インターネットは過去の判例で『文書図画」(「ぶんしょとが」と読み、一般的な用語での「文書」よりもかなり広範な意匠や掲示物を含む)に当たるとされていたものの、改正以前は選挙運動に利用できる文書図画として指定されていなかった。そのため実態として候補者たちは、選挙運動において利用することができなかったのである。

このような改正以前の状況で一般有権者にとって重要な点は、あまり認知されていなかかったものの、公職選挙法の規制が候補者や政党のみならず一般有権者も対象としていたことにある。選挙運動期間中に、一般有権者がネット上で特定の候補者や政党の支持、あるいは反対等を表明することは合法とはいえなかった(※下記公職選挙法第146条参照のこと)。しかしながら、多くの一般有権者はネット上で公職選挙法の規制を意識することなく、このような書き込みを行なっていた。言い換えると、知らず知らずのうちに少なくない数の一般有権者が「違法状態」にあった点である。

(文書図画の頒布又は掲示につき禁止を免れる行為の制限)
第百四十六条  何人も、選挙運動の期間中は、著述、演芸等の広告その他いかなる名義をもつてするを問わず、第百四十二条又は第百四十三条の禁止を免れる行為として、公職の候補者の氏名若しくはシンボル・マーク、政党その他の政治団体の名称又は公職の候補者を推薦し、支持し若しくは反対する者の名を表示する文書図画を頒布し又は掲示することができない。
2  前項の規定の適用については、選挙運動の期間中、公職の候補者の氏名、政党その他の政治団体の名称又は公職の候補者の推薦届出者その他選挙運動に従事する者若しくは公職の候補者と同一戸籍内に在る者の氏名を表示した年賀状、寒中見舞状、暑中見舞状その他これに類似する挨拶状を当該公職の候補者の選挙区(選挙区がないときはその区域)内に頒布し又は掲示する行為は、第百四十二条又は第百四十三条の禁止を免れる行為とみなす。
したがって2013年のネット選挙解禁で、一般有権者にとってもっとも重要な点は、電子メール等の制限は残っているものの、このような「違法状態」が解消したことにある。たとえば選挙期間中にブログやTwitter、Facebookなどで候補者や政党の支持、反対等の意見表明が、晴れて合法になった。また発信者情報を明記すれば、特定の主張を行う候補者に投票しないことなどを呼びかける「落選運動」も行えるようになったのである。


ネット選挙解禁が鳴り物入りで、しかも20年近い歳月をかけて実現したわりには、メリットが少なく拍子抜けする方もいるかもしれない。しかし、これが今回のネット選挙解禁の現実である。ネット選挙解禁を求める過程では「ネット選挙解禁が選挙費用を引き下げる」という議論も頻繁に目にした。だが、現実に起きているのはまったく逆の動きである。解禁の決定以後、ネット選挙に関連するIT企業やPR企業の株価が高騰していることが示唆するように、ネット選挙の解禁が金権政治の防止に貢献するかといえば期待しにくい。

選挙が競争であり、インターネットの影響が未知数である以上、インターネットの利用が解禁となった以上、各候補者にとって解禁された場合、そのチャネルを利用しないという選択肢はありえない。インターネットのツールやサービス自体には無料のものも少なくないが、競争にもとづき差別化しようという圧力が働く環境のもとで高度な運用を行うためにはそれなりのコストがかかる。コンテンツを増やし、頻繁に更新を行うためには人手も必要である。ネット選挙解禁は、選挙や政治活動のコストの低減や金権政治の防止に寄与したとはとてもいえない。

しばしば「ネット選挙で若年世代の投票率が上がる」といわれたりもしている。しかし、2000年代前半における韓国でのネット選挙解禁においても、むしろ投票率は1990年代よりも下がったことが指摘されている。また2012年の大統領選挙で投票率が上がったといわれているが、たとえば『日本経済新聞』の報道などでは中高年、とりわけネットを駆使した中高年の投票率が高かったことが指摘されている。このように投票率は多様な変数が相互に影響を及ぼしており、ネット選挙解禁が単独で若年世代の投票率を押し上げるとはいえなさそうである。また過去の選挙における「ネット著名人」の立候補の結果は、参議院選挙の全国比例区でさえ芳しくない。これらを勘案すると、「ネット選挙解禁」単独での、参議院選挙への影響は大きいとはいえないのではないか、というのが筆者の考えである。

「12年12月の韓国大統領選、50歳代の投票率82%」『日本経済新聞』(http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1505E_V10C13A2FF2000/

このように現段階ではネット選挙解禁は何を実現するかが見えにくい「理念なき解禁」であったといわざるをえない。その政治的背景については、前掲拙著『ネット選挙 解禁がもたらす日本社会の変容』(東洋経済新報社)で述べたが、インターネットメディアとの相性がよいとされる与党自民党が今回のネット選挙解禁を主導したことも少なからず影響している。やはり有権者からすると「違法状態」の解消以上に目を引くメリットは見えにくい。

しかし、あえていくつかのメリットを考えてみたい。まず第1に、今回の改正によって、インターネットメディアにかぎって、具体的な候補者名や政党名を入れた文書、動画の配信等が可能になるので、一般有権者の関心がもっとも政治に向く選挙運動期間に、従来のコンテンツよりも踏み込んだ内容のコンテンツを提供する事業者や組織、個人等が現れることは十分期待できる。いわば間接的なメリットだ。公職選挙法と、「不偏不党」を掲げる放送法により規制を受ける既存マスメディアは従来通り、放送時間の公平性に配慮した報道を行わなければならない状態が継続する一方で、政治や候補者に関する情報はインターネットを経由すると、より詳細なものが入手できるようになる。大手ポータルサイトや動画配信サイトなどで、このようなコンテンツを提供し始める可能性は高い(動画配信サイトなどは、放送法で定める放送事業者ではなく、またそのコンテンツは文書図画に該当する)。

第2に、少し長い視点に立ってみたい。今回の解禁で、国民、そして候補者の政治への関心が最も高まる選挙運動期間中の、インターネットメディアの利活用が、部分的にとはいえ、これまでよりは大幅な解禁となる。畢竟、これまで情報技術への関心が高かったとはいえない政治家らの理解と、関心が改善することが見込まれるといってよいだろう。日本の情報化に目を向けると、インターネットの普及率は高く(利用率の低い高齢者の人口ボリュームを加味するとなおさら)、インターネットの経済への貢献は少なくない。だが、大きく遅れをとっているのが政治、行政の分野である。電子政府、電子行政は最近でこそ話題になりはじめたものの、少なくとも一般有権者が意識できる、いわゆる窓口や納税等の場面への導入さえ一向に進んでいない。政治家や政党の情報技術の理解が進めば、これらの分野の改善が進むことが期待できる。実際、ネット選挙解禁を強く推進し、情報技術への感度が相対的に高い現政権は成長戦略への導入も図るなど積極的だ。

総じて2013年のネット選挙解禁は、先行した論点を具体化するに留まった「理念なき解禁」であったといわざるをえない。政党所属候補と無所属候補のあいだの公平性など深刻な問題も残っている。だが、これらの問題系の先には、情報技術を用いた民主主義の新たな可能性を模索する「デジタル・デモクラシー」、政府と民間の連携を通じた公共サービスの改善を目指す「オープンガバメント」、政府、地方政府保有情報の公開と利活用を促す「オープンデータ」など、ポジティブで豊かな可能性も広がっている。日本の選挙制度の根幹を支える公職選挙法はどのような価値観にもとづくべきなのか、既存メディアの利活用や従来型の選挙運動との整合性をどうするのか、これらの課題を検討しつつ、更なる情報と政治のあり方を展望することが求められている。

(先日、同名タイトルでYahoo!個人に掲載したエントリの(上)(下)をつなげたものです)



2013年5月17日金曜日

[ゲンロンスクール]西田亮介「政策の想像力/創造力」序論 第1回 @genroncafe まとめ

昨日、五反田のゲンロンカフェさんで、ゲンロンスクールの第1回を行いました。天気はあまり良くない、というか雷雨だったのですが、30名ほどのみなさまに集まって頂きました。あとで名刺交換したり、お話させていただいたところでは、政策周りの「ギョーカイ」の方が多かったようです。あと情報社会関連の知人のみなさまも多くいらっしゃってくださいました。各アフィリエイトカフェのみなさんからも相当質問をいただけてよかったです。

なんというのか、ゲンロンカフェという場所はゆるゆると、固まりきっていない話をしても良いような、寛容な雰囲気があってよいですね。セミナーや講演をやる機会は少なくないですが、そういう場所は貴重です。

終わって、某sakaimaさんと、山口さんと三人で飲んでたら、ひょっこりオーナーの東さんもいらっしゃってくださいました。思えばひさびさにお目にかかりました。

[ゲンロンスクール]西田亮介「政策の想像力/創造力」序論 第1回 @genroncafe まとめ

次回は6月19日(水)。ここではがっつりネット選挙の話をします、というかその話しかしませんので、ぜひみなさまよろしくお願いします。

2013年5月14日火曜日

【立命館の院生・PDの人向け】学振の研究計画書の個別相談を行なっております。


運営委員として仕事をしている、立命館大学院キャリアパス推進室関連の仕事で、締切が迫ってきた学振研究員の研究計画書の個別相談を昨日から行っております。第3者の視点でアドバイスが欲しい、表現を際立たせる方法等々、です。昨日初日だったのですが、個別相談に時間がかかるわりに、相談に来た人数が少なかったので、再度告知しておきます。学振は書類の分量が多く、付け焼刃では絶対に採れませんので、早めに準備をはじめましょう。最終日に駆け込みで殺到する、というのは、やめてほしいなあ、などと思いつつ・・・

5/13(月)14:30~17:00 
5/14(火)14:30~17:00
5/15(水)13:00~17:00

2013年5月12日日曜日

ハフィントン・ポスト日本版のブロガーになりました&エントリ公開されました+α

先日、英語圏でよく知られているニュースブログポータルのハフィントン・ポストが朝日新聞と提携して、ハフィントン・ポスト日本版がスタートしました。
http://www.huffingtonpost.jp/

で、そのブロガーにお声がけいただきました。ちょっとすったもんだあって、そのあたりは、Parsleyさんがまとめているとおりなのだけれども、なかの人たちがきちんと説明&謝罪いただいて手打ちしたので、もう終わったことです(大人の事情、ごにょごにょ)。また何か書きたいことがあれば更新します。
http://blogos.com/article/61897/

とまれ、エントリ公開されました。インターフェイスが日本で馴染むのか問題とか、日本で個人のブロガーがこのプラットフォームで記事を更新するインセンティブはどこにあるのだろう問題とか、朝日新聞はこのコストをどうやって回収するつもりなんだろうという好奇心とかいろいろあるんだけど、なにぶん新しい媒体ですから、生暖かく見守って行きたいと思う次第です。

「ネット選挙からオープンガバメントへ ――ネット選挙解禁は「情報と政治」の新たな出発点だ」
http://www.huffingtonpost.jp/ryosuke-nishida/-_1_b_3214752.html?ncid=edlinkusaolp00000003

2013年5月10日金曜日

5月20日(月)19時〜 第3回西田ゼミ@GOCCOHの登録フォームはこちらから

5月20日の自主ゼミ@GACCOHさんの登録フォームです。お手数ですが、会場キャパの問題で一応毎回登録してくださいませ。前回隔週月曜日、GACCOHさんということがわりと決まりました。テーマは「地域振興」です。

https://docs.google.com/forms/d/1qVp2E2FP87Z0VL1guDanlmqNab4tAOMAZf4qedpdQRU/viewform

2013年5月8日水曜日

2013年5月8日立命館大学院キャリアパス支援プログラム「研究会企画とマネジメント」を担当しました。

2013年5月8日、立命館大学院キャリアパス支援プログラム「研究会企画とマネジメント」を担当しました。

研究会活動支援制度という研究科を越えた院生たちの研究会企画に助成を出す制度と並行して、院生等の研究スキルを底上げしようというセミナーです。どうやって研究会を企画するのか、どんなメリットがあるのか等々の座学と、ワークショップを組み合わせた企画でした。

もう少し詳しくはこちらから→
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=457522954329003&set=a.436843986396900.1073741831.434118726669426&type=1&theater

2013年5月7日火曜日

2013年5月6日西田ゼミ@GACCOH「NPOとソーシャルビジネス」を開催しました

2013年5月6日に西田ゼミ@GACCOHを開催しました。写真のように、今回も二十数名の人が集まり、「NPOとソーシャルビジネス」について、GW最終日にもかかわらずわりと白熱した議論を行いました。

(前回概要はこちら

やたらカジュアルなこの写真の風景からは伝わりにくいかもしれませんが(?)、実はこの人数のなかにぼくも含めて大学教員が5名もおり、知的強度は結構高いといえると思います。社会人、メディアの人、編集者、院生等々、ユニークな場になりつつあるような気がします。基本的に隔週月曜日に出町柳のGACCOHさんをお借りして行うことになりました。したがって、京都での自主ゼミ企画は、晴れて(?)「西田ゼミ@GACCOH」ということになりました。次回は20日(月)19時〜で、テーマは「地域振興」です。追って参加フォームを設置します。とはいえ、ゼミというのは、継続的に議論することに少なくない意味があるので、自分の関心テーマのみつまみ食いするよりは、継続的に参加してもらったほうがよいと思われます。今週の半ばくらいに、おいおい参加用のフォームを作成しますので、そちらから(なるべく早めに)登録してください。


(写真は@GACCOHさんから引用)

2013年5月6日 TBSラジオ「荒川強啓デイキャッチ」電話出演

2013年5月6日に、 TBSラジオ「荒川強啓デイキャッチ」に電話出演しました。たぶん、初めての番組です。お題はネット選挙について。12、3分ほどで説明しました。

詳しくは今月末発売の拙著をご参照下さい。



2013年5月5日日曜日

7、8年ぶりくらいに泳いでみた。

市民プール的なところで7、8年ぶりくらいに泳いでみた。
GW中仕事のため、ひとり関西に長期滞在しているので、76世代の同業の先輩や友人を訪ねた。しかし、みんな理由はいろいろだが、なんだか総じてヘロヘロであった。30代半ばで、本来脂が乗り切っている時期のはずなのに、どこか元気がない。
ぼくもこれから30路を歩むことになるので、「そうか、30代はいろいろキツイのか」というのを、なんだか直視してしまった気がしてならない。

そんなとき、建築家の藤村龍至さんのことを思い出した。彼も、確か76前後の世代のはずだが、なんだか元気だ。ランニングを中心に、ばりばり鍛えていることで有名だ(たぶん)。そこか、と。確かに業界のブラック性云々という構造問題もあるけれど、とはいえ、生き抜くためには体力をつけるしかないな、と。

....というわけで、市民プール的なところに泳ぎに行くことにした。昔は結構水泳、というか、競泳をやっていたので、泳ごう、と。本当はサーフィンにしたいのだけど、関西にいたりするとなかなか難しいし、天候にも左右される。

7、8年ぶりにいろいろと道具を買い揃えるところからはじめて、行ってきたのである。しかし、そもそも「道具」が大きく変わっていたことに驚いた。水泳で道具といえば、水着のことだけれど、まずかつては普通だった、いわゆるハイレグっぽい水着は絶滅危惧種と化したようだ。大手量販店でも、ほとんど見かけることがなかった。代わりに、膝丈までの、抵抗を抑えた水着が主流になったようだ。ぼくがやっていたころは、ちらほらそういった水着が登場してはいたものの、主流ではなかった。どうも雰囲気的に、現在ではそちらが主流になったようだ。なので、とりあえずそれを買った。

さらにブランドが変わった。いや、正確には変わっていないのだけど、国内でのライセンス先が変わったようだった。「SPEEDO」という水泳用品界の鉄板ブランドがあるのだけれど、かつてはミズノが卸していた。それが現在ではゴールドウィンがライセンスを受けているようだ。スポーツブランドから、ファッションブランドに移行したからか、小物類が総じてオシャレっぽくなっていた。いや、それでいえば、かつては気合と根性っぽいイメージだった競泳がなんだか地上波で放映されたり、全体的にオシャレ感も増したような気がする。

などと浦島太郎状態で、プールに行ってきた。心臓止まったら、どうしようとか息上がったらいやだな、とか、いろいろ泳げなかったらいやですね、などと思いながら...

しかし結果的には杞憂であった。わりと普通に四種目泳げたし、クイックターンもできた(わかりますかね、クルってまわるターンなんですけど)。市民プールなのであんまりガシガシ気合入れては泳げないけれど、50mだと、1分サークルくらいでだらだら泳いでいても息があがったりはしなかった。とはいえ、全体的にこわごわの慣らし運転だったけど、とても爽快だった。

泳ぎ終わって思ったのは、競泳のような「スポーツ」は規律訓練的で、なんだか仕事との相性も良さそうだということ。モクモクと同じラップを刻み続けたり、各種能力(筋力)を向上させるべく頑張るというのは、なんだか仕事にも通じるところがある気がするじゃないか。

というわけでイロイロ味をしめたので、健康増進のために今後も気が向いたらちまちま泳ぐことにします。




2013年5月3日金曜日

日本建築学会の学会誌に書評を書きました。

日本建築学会の学会誌『建築雑誌』に、前号の特集「ポスト近代復興」についての短い書評を寄稿しました。

西田亮介,2013,「『ポスト近代復興』の現場と建築を架橋する『政策』とはどのようなものか」『建築雑誌』128: 44.