2013年1月5日土曜日

みんなの党の公職選挙法改正案(ネット選挙に関連して)

2012年の衆議院選挙では各党が(温度差はあれど)ネット選挙運動の解禁を標榜していた。

「「ネット選挙運動」をめぐる各政党の2012年衆議院選挙の見解(マニフェストを並べてみた)」
http://ryosukenishida.blogspot.jp/2012/12/2012.html

なかでも、みんなの党は踏み込んだ記述をしていた。

7.多様な民意を政治に反映させるため、インターネット選挙を解禁選挙期間中でもインターネット(フェイスブックやツイッター等)を使った選挙運動が、候補者本人や政党、第三者でもできるよう法律を改正。候補者本人の有料広告は、法定選挙費用内で可能とする。個人認証の精緻化や秘密投票の確保がなされるようになった将来には、パソコンやスマートフォンを使ったインターネット投票を実現し、その技術を世界へと売り込む。(みんなの党,2012,『選挙公約』http://www.your-party.jp/policy/manifest.html#manifest05.)

多くの政党が「ネット関連の技術が普及した」→「法律(公職選挙法)を変えなければならない」という社会変動ゆえのガバナンスの変革という受け身になった記述か、漠然と「インターネットを使った選挙運動の解禁」と記していた。それに対して、みんなの党だけが、「多様な民意を政治に反映させるため」→「法律(公職選挙法)を変えなければならない」という「ガバナンスの変革」を目的とした公職選挙法の改正を標榜していた。

そのみんなの党が2012年末に、公職選挙法の改正案を参議院に提出した。

「公職の選挙におけるインターネットの活用の促進を図るための公職選挙法の一部を改正する等の法律案」
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/182/pdf/t071820011820.pdf

「公職の選挙におけるインターネットの活用の促進を図るため」という文言が加わったことといい、みんなの党の意気込みが伝わってくる。さらに一年以内に、将来的なインターネット投票の可能性を検討することを努力目標として織り込んでいるところも対案の提出が求められる時代の野党の取り組みとして評価できる。

ただ、気になる点も残る。この法案は事前に承諾を得たアドレスに対する電子メールを除いたウェブの文書図画の頒布ができる、となっている。しかし、TwitterのDMやFacebookのメッセージ、チャットなど細かく見ていけば、政党がユーザーにダイレクトにアクセスできる方法は無数にある。整合性の観点や、実行可能性からしても、このような技術に依存した制約を設けることには限界がある。結局電子メールもよほど悪意がないかぎり、発信者情報から本人のメールアドレスから送信されたものかどうかは判別できる。発信者情報の明記等、いくつかの本質を押さえた大綱化で対応しないと、インターネットの技術革新の速度は速く、きりがないのではないか。

ネット選挙運動の解禁は、少なくとも個人的には政治の透明化、国民と政治の距離を近づける、候補者の日常的な思考や政策に対する考え方を知る、政策立案競争を促進する環境形成の手段と考える。そのためのネット選挙運動の解禁にならなければ意味がない。2012年の衆議院選挙では政治の地殻変動が起きた。次の選挙では大きな動きを起こしたくないというのが与党側の立場だろう。ともすれば、公職選挙法の改正から、ガバナンスの変革に関連する要素を骨抜きにしたくなるはずだ。動向を注視したい。


(この問題は、オープンガバメントと関連して、西田亮介,2011,「情報と想像力の狭間に生きる「私」たち その情報化はガバナンスを変革するか?」『ユリイカ』2011年2月号,青土社,131−41.などでも論じた...気がする)