2012年9月21日金曜日

高岡伸一・篠原徹也・西田亮介,2012,「PROPS プロトーク」2012年9月16日 @大阪 DESIGNEAST

今月は建築の方と話す機会を数多く持たせていただきました。今週末の藤村さんとの企画も含めて、あといくつか今後も続くはずです。同じ対象を見ながら、手続きの再現可能性にこだわる社会科学と、「リサーチ」から主観性と差別化に徹底的にこだわる建築やデザインを専門にする人たちとの物の見方の違いを改めて確認したり、いろいろと考える契機になりました。また改めて説明したなと思うのですが、これまで自明だった「つくること」が、デザインや建築の分野で、たとえばアノニマス・デザインや「誰しも関与できる」デザイン等の登場で自明のものでなくなり、改めて「つくること」と公共性と前提が問われるようになってきた印象を受けます。両者は完全には一致しませんが、社会科学の文脈でも公共の問題が主題化しています。日本においては民主党鳩山内閣の「新しい公共」の宣言に象徴されるような社会的包摂と公共部門への革新性の導入の両立に対する志向であり、もう少し射程を広げればニュー・レイバーによる「第三の道」のような、あるいはそののちの「ビッグ・ソサエティ」のような財政的制約と社会的包摂の両立に対して比較的積極的な介入を含意した文脈かもしれません。ガバナンスの多様化、あるいは、情報技術を通じた直接民主主義的な政治の可能性も熟議などを絡めながら、主題化しています。むろん両者は重なるところと重ならないところがあるのですが、「つくること」の公共性という主題は、ひとつの端緒になりうるのかな、などと漠然と考えています。

高岡伸一・篠原徹也・西田亮介,2012,「PROPS プロトーク」2012年9月16日 @大阪 DESIGNEAST.(http://props.a-ri.jp/290