研究室情報【進学、研究生、共同研究等希望者等向け】

西田亮介研究室について (about Dr. Ryosuke NISHIDA's Lab.@titech)
東京工業大学環境・社会理工学院社会・人間科学系 社会・人間科学コース 西田亮介研究室の研究室情報です。 研究室(修士課程、博士課程)への進学、研究生の希望者は、よく読み、
原則として、十分な時間的余裕をもって事前に連絡し、 個別面談を受けて下さい(海外、遠方在住等の場合は要相談)。

(Japanese)

(English)

オンラインサロンを始めました。初月無料、社会人1500円/月、学生500円/月。平日毎日更新。週1選書。月1読書会。
「西田亮介の新書、文庫、雑誌で始めるリベラルアーツゼミ@Synapse」

2016年11月28日月曜日

国立大学の現状についての基本的な4つの誤解について

なぜ日本の大学政策は国内外からの指摘にもかかわらず運営費交付金削減と競争的資金政策に拘り続けるのか(西田亮介)- Y!ニュース
今月前半、主に国立大学に関する上記の記事を書いた。筆者自身が国立大学に勤務し、日々大学で教育研究に携わっているなかで感じる違和についてまとめた記事だが、それなりに多く読んでいただいたようで、ポジティブなもの、ネガティブなものをふくめていろいろな反応があった。そのなかで幾つか典型的な誤解のパターンのようなものがあったので、少々時間がたったが、この問題を考えるにあたって基本的な補助線にもなりそうなのでさしあたり4点まとめておくことにした。
1.若手のポストがないというが、競争的資金で雇用すればよいので恒常的予算である運営費交付金の増額は必要ない。
競争的資金は科研費を筆頭に、現状、数年から10年程度の時限付きの予算が中心で、その予算を通じて直接、各部局の基幹教育研究のための教員は雇用できない。
2.若手のポストがないなら、年長世代の教員を解雇できるようにすればよい。
「優秀な人材が逃げる…」地方国立大、人件費削減に悲鳴:朝日新聞デジタル
最近、朝日新聞の教育関係の取材班が国立大学の問題に関心を持っているようで、立て続けに関連の記事を出している。世論形成やこの問題の周知にとって有難いことである。奇しくもその記事のなかで、山本行革大臣「山本幸三・行政改革相『学長は教授をクビにできるのか』」という主旨の発言をしたことが書かれているが、確かにネットでもしばしばこのような発言を見かけた。しかし少々日本の労働法規を思い出してほしいのだが、日本では整理解雇は原則として最後の手段となっており、民間企業でも実質的にはなかなか踏み切ることはできない(というよりも、かなり困難である)。大学でも同様で、若年世代の雇用を確保する必要はあるが、だからといって、年長世代を解雇したり、新規に流動的な契約に強制的に変更することはできない。それどころか、意識されることも少ないが、従来の給与体系からの変更を要求することさえかなり難しい。このあたりの認識が混乱していることもあって、現状、ポストが不足する若年世代を中心に、任期付き、年俸制を前提とした流動性の高い環境に置かれることになってある意味では本末転倒な状況が生じている。ちなみに任期付きでも特任等の職位でなければ、教授会や全学関係、入試関係の管理業務も担当する。
3.恒常的予算が減少しているなら、新しい収入源を見つけるべき
なかでももっとも簡単に思えるのが学費の値上げだろう。しかし大半の国立大学はそれをしていない。なぜか。国立大学は、その性質上、いわゆる学費(授業料)、入学料、検定料が制度で定められている。授業料についていえば、約54万円と規模やコスト、大学の学部等にかかわらず一律に定められており、「特別の事情があるときには」1.2倍まで値上げできるとされているが、ほとんどの大学で標準額のままになっている。この点は私立大学と国立大学との違いでもある。また定員や教員数についても、文科省に届け出た数字に拘束されているので、コストカットには限界がある。そもそも非営利組織であることからして、その性質上、社会との利益相反や特定企業等への利益供与にならないようにするといった点も考慮しなければならないなど、一般の企業よりも安定的な収入の拡大のための条件は多く、実際かなり難しいといえる。寄付やクラウドファンディングも、一時的なプロジェクトや研究費の調達には一定程度貢献するが、人件費や建物の老朽化対策等に適しているとは言い難い。
4.民間同様のマネジメントや評価手法を導入すべき
これも上記の朝日新聞の記事のなかの、山本行革大臣の「企業経営的な運営ができていない」という主旨の発言に象徴されているが、実態は国立大学法人化以後、かなり企業経営的な手法が導入されている。筆者もそうだが、近年採用された国立大学の准教授以下の職位の教員は年俸制と任期付きがかなり多くなっているはずだ。だが民間企業でも外資系などを除くと、年俸制と任期付きが最初からセットになった雇用はさほど主流になっていないはずだ。その意味では民間企業よりも踏み込んだものになっているともいえる。年俸制ということは、毎年かなりの数にのぼる評価項目を含んだ自己評価と部局長評価を踏まえた査定があり、給与の見直しが行われる。こちらも、一時期民間企業でも流行ったが、最近では効果が曖昧だということで見直しも進んだとされている。またすでに各所でいわれているように、財政的に逼迫しており、年俸制のなかに業績給の要素が含まれるものの、大幅な給与増や継続的な改善も望めず、適切なインセンティブ設計になっているとは思えない。給料とは別に研究費に入るが、国立大学全般の財政的制約のなかで、競争的資金を獲得したときの研究費のインセンティブが減額される傾向にさえある。
最近では河野太郎内閣府特命担当大臣が、競争的資金の実態や国立大学の問題に関心を持ち、研究者にブログで課題の集約を呼びかけたりするといったこともあった。
一連の朝日新聞の記事といい、少しずつ社会の関心が向きつつある雰囲気は感じる一方で、たしかに大学や当事者からの情報発信が十分ではないのも事実で(そもそもここで書いたような誤解がまかり通っていることにも、やはりこれまで十分な周知を行ってこなかった影響も少なくないように感じる)、それらを払拭するためにも当事者のひとりとしてこの問題を考えるための基本的な補助線を提供したいと考え、このエントリを書いたが、この問題の理解の一助になれば幸いである。
大学改革に関して、意外と規制による制約が多く存在し、大学内部での試行錯誤や創意工夫の余地が制約されていることを知ってほしいという願いがある。とはいえ、恐らく、今後大規模な運営費交付金の増額等は望めず、だとすればまさに本質的な改革のために大幅な規制緩和が必要ではないか。現状は予算も増やせないが、工夫のための権限も各大学には渡せないという状況で、国の政策に現場は右往左往せざるを得ない状況になっている。ある意味、三位一体改革以前の(しかし今も続く)地方分権改革の「失敗」と似ている。

2016年11月27日日曜日

今月2度目の『モーニングクロス』は…


11月30日(水) 朝。Tokyo MXか、アプリ「エムキャス」、ウェブにてご視聴ください。

https://mcas.jp/

2016年11月23日水曜日

The Features of "Workless Society" in Japan



先週の清華大学で用いたスライドです。提携校のため研究交流、教員交流も目的とされていたので、自己紹介などが通常より多めにとってあります。

R.Nishida, 2016, The Features of “Workless Society” in Japan 19, Nov. 2016@Tsinghua University.



2016年11月22日火曜日

2017年度4月入学研究室研究生の募集について

2017年度4月入学の研究室研究生の募集について、大学のホームページで告知が始まりました。

http://www.titech.ac.jp/graduate_school/international/research_students/data/syutugan/1_gansyo_j_a.pdf

ぼくの研究室での指導を希望する人は、下記の研究室案内とあわせてよく読んで、連絡してください。
https://sites.google.com/site/ryosukenishidalaboratory/

Innovation Nippon2016シンポジウム

Innnovation Nipppon主催のイベントに登壇、基調講演することになりました。今秋ずっと取材していた、最新の日本の政党の情報発信手法と戦略についてご紹介しようと思っています。よろしくお願いします。

≪≪≪≪≪≪ Innovation Nippon2016シンポジウムのご案内 ≫≫≫≫≫≫

◆タイトル:「情報の自由と活用を考える―政治・消費・対話のパラダイムシフト」

◆日時:2016年12月15日(木)13:10‐18:30

◆会場:東京ミッドタウン カンファレンスRoom7(ミッドタウンタワー4F)

◆主催:Innovation Nippon
 http://www.innovation-nippon.jp/

◆後援
グーグル株式会社
総務省(※申請中)
国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)


◆概要
テクノロジーの進歩によって人々は大量の情報を自由に共有・発信出来るようにな
り、それらを活用することでさらなる社会の発展がある――。21世紀はそのような情
報化社会になるといわれ、実際に次々と生産・消費活動、ビジネスモデル、コミュニ
ケーション方法等が創造的に破壊され、社会は大きな変革を迎えようとしています。
しかしその一方で、情報の活用が進んでいない地域・分野が多いことや、情報の自由
と責任のバランス等、社会が検討すべき課題は多くあります。
Innovation Nippon 2016では、情報の自由と活用促進について改めて考えるため、政
治・経済・コミュニケーション等の幅広い視点から実践的研究を行ってきました。シ
ンポジウムでは、「地方創生とIT活用」「情報シェアの経済的インパクトと政策」
「ITと選挙」についての新たな知見を公表するとともに、ITによってもたらされた情
報の自由と活用、そして情報社会の未来について議論します。


◆プログラム

・プロローグ(13:10-13:20)

・Session 1「地方創生をITの力で促進する」(13:20-14:50)
―基調講演①:今川拓郎(総務省情報流通行政局情報流通振興課長)
―基調講演②:田村祥宏(株式会社イグジットフィルム)
―パネルディスカッション:
 今川拓郎(総務省情報流通行政局情報流通振興課長)
 田村祥宏(株式会社イグジットフィルム)
 河野秀和(シタテル株式会社代表取締役)
 【モデレータ】庄司昌彦(国際大学GLOCOM主任研究員・准教授)

・Session 2「人々の情報シェアがもたらす経済的インパクトと政策的検討」
(15:05-16:35)
―基調講演:山口真一(国際大学GLOCOM研究員・講師)
―パネルディスカッション:
 木村忠正(立教大学社会学部教授)
 津田大介(ジャーナリスト)
 福井健策(弁護士(日本・ニューヨーク州))
 山口真一(国際大学GLOCOM研究員・講師)
 【モデレータ】高木聡一郎(国際大学GLOCOM主幹研究員・准教授)

・Session 3「ITがもたらす選挙のイノベーション」(16:50-18:20)
―基調講演①:西田亮介(東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授)
―基調講演②:庄司昌彦(国際大学GLOCOM主任研究員・准教授)
―パネルディスカッション:
 清原聖子(明治大学情報コミュニケーション学部准教授)
 庄司昌彦(国際大学GLOCOM主任研究員・准教授)
 西田亮介(東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授)
 渡瀬裕哉(早稲田大学招聘研究員)
 【モデレータ】関口和一(日本経済新聞社編集委員)

・総括(18:20-18:30)


◆参加のお申込み/ Webイベントページ
下記URLにアクセスしお申込みフォームよりご登録ください。
Sessionごとのお申込みが可能です。ご参加希望のSessionを選択してください(複数
可)

http://www.glocom.ac.jp/events/2022

*本シンポジウムは、無料でご参加いただけます。
*アクセス元の環境によっては、上記URLの申込みフォームが表示されない場合がご
ざいます。その場合はお手数ですが、電子メールにてお問い合わせください。
*各Sessionの定員(各回120名)に達しましたら、お申込み受付を終了いたします。
お早めのお申し込みをお待ちしております。

2016年11月18日金曜日

中国

校務の出張で今日の夕方から明後日午後まで中国は清華大学に行ってきます。Google依存状態なので、メールの返信等も滞ると思いますがご容赦ください。

2016年11月17日木曜日

『ザ・議論! 「リベラルVS保守」究極対決』

版元の出版社さんからいただきました。著者との面識もなく「なぜ?」と思いながらページをめくっていたら、終わりのほうで法哲学者の井上達夫先生に少し長めに言及いただいていたので、それが献本いただいた理由のような気がしてきました。


2016年11月16日水曜日

「西田亮介の新書、文庫、雑誌で始めるリベラルアーツゼミ」リアル読書会レポート

Synapseのオウンドメディアでぼくのオンラインサロンが紹介されています。Synapseのなかの人でぼくのサロンに参加している田尻さんの執筆です。かなり詳細かつ的確に雰囲気を描写してくれていますので、ぜひ一読してみてください。

2016年11月15日火曜日

LINE BLOG

これまで著名人のみに限定してきたLINE BLOGがいよいよ一般ユーザーにもアカウント開設を認めたということで、早速作ってみました。

http://lineblog.me/ryosukenishida/

更新はスマホのみで可能と、PC世代にとっては些か厳しい仕様となっておりますが、下記のエントリでけんすうさんが推論しているような戦略にはかなり首肯できるうえに、たしかに国内最大ユーザーを抱えるLINEが自己完結するエコシステムを形成するのであれば、そこへの対応の遅れは、日本語圏内での情報発信という意味では致命的なものになりかねません…。

LINE BLOGの設計が秀逸すぎる件について考察 - けんすう
http://lineblog.me/kensuu/archives/00144.html

正直、過去にnoteのアカウントを開設したものの、使いみちがイマイチわからなかったり、という経験を抱えているのですが、今回は新興サービスというよりは最大手の構想ということですから、ぼーっと眺めているだけではすまないような気がして、とりあえずアカウントを開設してみました。これを機に、もっとスマホシフトできるよう身体を対応させていきたいです…(正直しんどい

2016年11月13日日曜日

11月10日、11日@TOKYO MX『モーニングクロス』

11月10日、11日と、アメリカ大統領選挙のトランプ勝利を受けて、VTR出演しました。9日の投票日当日午後に収録したものです。ぼくはもともとヒラリー勝利と思っていたので端的にハズれですが、現状踏襲の楽観シナリオと、選挙戦中のトランプ発言を踏襲する予測不可能な悲観的シナリオがあり、前者の仮説からのコメントでした。後者の場合は、端的にカオスで悲劇的です。

2016年11月9日水曜日

「日本の精神性が世界をリードしていかないと地球が終わる」 安倍昭恵氏インタビュー

安倍昭恵さんとの「対談」と、その影響力、政治性について(西田亮介) - Y!ニュース
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ryosukenishida/20161027-00063761/

上のエントリで予告していた「対談」が公開されました。かなり話題になっているようです。

「日本の精神性が世界をリードしていかないと地球が終わる」 安倍昭恵氏インタビュー
http://blogos.com/article/197071/

サードプレイス「西田亮介 ride on the politics」もRadikoのタイムシフト機能を利用できます。

ぼくがパーソナリティを務める東京、大阪等を除くJFN系列各局毎週火曜日朝5時半〜サードプレイス「西田亮介 Ride on the politics」もRadikoのタイムシフト機能を活用できます。プレミアムうの契約をすれば、東京等でも聴取可能ですので、よろしくお願いします。以下に、FM群馬のリンクを貼っておきます。

http://radiko.jp/#!/ts/FMGUNMA/20161108053000

2016年11月8日火曜日

#surfing #beach #somewhere #chiba

Nishida, Ryosukeさん(@ryosukenishida)が投稿した写真 -

11月7日(月)TOKYO MX『モーニングクロス』コメンテータでした。


黒田さんやタケ小山さん世代の、いい感じの先輩世代の方々の元気キャラに不元気キャラのぼくも元気をいただいてきました。

2016年11月6日日曜日

11月5日に青木裕子さんナビゲートのJ-WAVE 「RAKUMACHI BIZ8」に出演しました。

11月5日に青木裕子さんナビゲートのJ-WAVE 「RAKUMACHI BIZ8」に出演しました。
http://www.j-wave.co.jp/blog/acoustic/archives/news_topics/

アメリカ大統領選挙におけるネット選挙やメディア戦略、日本への影響等にコメントしています。青木裕子さんが83年生まれで、学部は違えど慶應卒ということで、ちょっと親近感を持ちました。ナイナイ矢部さんと結婚したことは知っていましたが、同い年や慶應卒とは全然知りませんでした…。

2016年11月4日金曜日



モダンなツインフィンでのライディング。力が抜けてるけど、今風のアクションで良い感じでは。

2016年11月2日水曜日

なぜ日本の大学政策は国内外からの指摘にもかかわらず運営費交付金削減と競争的資金政策に拘り続けるのか

昨今、にわかに大学、とくに国立大学法人の経営難と環境悪化が報じられている。
国立大の基礎研究費削減、全国の理学部長らが反対声明:朝日新聞デジタル
国立33大学で定年退職者の補充を凍結 新潟大は人事凍結でゼミ解散 | THE PAGE
大学ランキングに一喜一憂するべきではないという声明も出されるが、自分の研究室に来た留学生たちに聞いてみても、一様に大学ランキングは見ているという。ひとつの大学選択の基準になっていることは否定出来ないだろう。その大学ランキングのひとつ、タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)で、日本の大学ランキングは近年低迷傾向にある。THE2016-2017年版では東大は世界ランキング39位、東アジア7位となった。世界ランキング100位以内にランクされているのは、東大と京大のみである。なお理工系が強い項目を重視するため、私大はこのランキング上位(アジア上位50位内)には出てこない。
もうひとつの著名なランキングQSでは、東大が世界34位、京大37位、東工大56位、阪大63位、東北大75位など、100位以内にもう少し多くの大学がランクインしている。
中国は別枠としても、シンガポールや香港のような小さな国、地域は大学の数も少なく集中投資可能だが、大学が質量ともに多様で、大学制度が一定の成熟を見せた日本ではそうもいかないため、独自のアプローチは必要だ。
それにしても、なぜ日本の大学政策は国内外からの指摘にもかかわらず運営費交付金削除を継続し、競争的資金政策に拘り続けるのだろうか。年間1%削減を継続し、すでに国立大学の法人化以来10年あまりその削減を継続している。投資の増額はともかくとして、1%のカットを10年続ければ10%カットである。そして、国立大学法人は全国で86存在するが、この10年で10%、総額約1200億円がカットされている。
旺文社の下記の資料は運営費交付金の動向について端的にまとまっていた。
たまたま共産党が、運営費交付金削減が将来の大学学費値上げにつながるため、反対という姿勢を取っている「しんぶん赤旗」の記事を見つけた。素朴だがわからない態度表明ではある。その他の政党については、この問題に関するあまり明確な態度表明は見当たらなかった。
国立大学の運営費交付金/17年度以降は毎年削減
もしかすると、年間1%というと大したことがないように思えるかもしれないが、日本では労働法制上手がつけにくい人件費など費目を除くと、各部局に落ちてくる減額幅の要求は1%にとどまらず相当なものになることがわかる。これが毎年続いているのである。人件費については既存のポストについては手をつけにくいので、退職者ポストの補充凍結、新規採用人事から人件費のコントロールが比較的容易な年俸制任期付教員への置き換えが進められ、いよいよ人件費の削減等についても各国立大学で検討が始まっているはずである。
歴代ノーベル賞受賞者が口々に語る危機感「日本に基礎研究を伸び伸びやらせる環境なくなった」
日本の大学、順位低迷の理由に予算不足も?
なぜ東大は「世界大学ランキング」が低いのか 人文系学部「廃止騒動」は世界に逆行している | 学校・受験- 東洋経済オンライン
このようにノーベル賞受賞者らや、世界ランキングを提供するTHE社のコメント(下段記事内参照のこと)、冒頭の国立大学法人関係者らの声明を見ても、一様に教育研究投資の拡充、環境改善を要請している。なぜ、こうした声が一様に届かず、政策に反映されず、運営費交付金削減と競争的資金重視の政策傾向が続くのだろうか。
東大と慶應でクロスアポイントメントをもち、高等教育行政にも詳しいはずの鈴木寛氏の2015年のインタビューは正鵠を射ている。
世界大学ランキングでの苦戦は教育への投資を怠ってきた報い――鈴木 寛 文部科学大臣補佐官インタビュー
しかしその割には運営費交付金削減と競争的資金重視の政策傾向は少なくとも我々にはまったく変化の兆しが見えないように思われる。鈴木氏は2016年10月に大臣補佐官に任命されているはずだが、いったいどうなったのだろうか。
今年2016年の国会で国立大学法人法の改正が行われ、新たに指定国立大学法人制度が導入されることになった。多くの国立大学では指定に向けた準備でまた慌ただしくなっているに違いない。以前、ある有名な政治家が「この問題で我々のところに本気で陳情に来る人がいない」といっていたことを思い出したが、文教族の政治家でも良いし、文部官僚でもよいのだけれど、ぜひ有権者や関係者に現行政策の合理性についてわかりやすく提示してほしい。
ちなみに「産業競争力会議」の「成長戦略の進化のための今後の検討方針」には、下記の様に書かれていた。
卓越研究員をはじめ若手研究者の人材育成・強化等の観点から、科学研究費助成事業など競争的研究費の在り方について検討する。
しかしながら競争的研究費がもたらす間接経費では、たとえば建物の老朽化対策の予算や安定的なポストのための人件費は賄えない。問題は本来は各大学の特徴を自由に活かすために国立大学法人化した一方で、「財布」の権限委譲に十分に取り組まず、文科省がときどきの政策意向に応じて場当たり的かつ紐付きかつ競争的資金偏重にデザインしている影響が強いようにも思えるがどうか。
今のところまったく国立大学法人化のメリットを活かせていないうえに、国立大学の基礎体力を着実に奪っているとしか思えない。政府は2013年に「日本再興戦略」を掲げ、2023年に世界ランキング100位以内に10校以上をランクインさせるということを掲げている。この2013年の「日本再興戦略」には、次のように記されている(p.5)。
日本の大学を世界のトップクラスの水準に引き上げる。このため国立大学について、運営の自由度を大胆に拡大する。世界と肩を並べるための努力をした大学を重点的に支援する方向に国の関与の在り方を転換し、大学の潜在力を最大限に引き出す。
ここでいうところの「運営の自由度の大胆な拡大」は具体的には何を指しているのか不透明だ。「指定国立大学法人制度」のことかもしれないが、各国立大学法人は指定の獲得に躍起になっていて、まったく「自由度の拡大」には貢献していないように思われる。単なるボヤキだが、本文中の「年俸制の本格導入」が大学改革の「先駆的な取り組み」の筆頭に挙げられているが、適用対象は労働契約上新任の若手に限られる。筆者もその対象だが、資金繰りが乏しいなかだと昇給(幅)の期待に乏しく、あまりイノベーティブな人事戦略だという実感はない。むしろ動機づけに失敗しているようにさえ思えてくるが、どうか。少々検索してみて驚いたのだが、2013年版の「日本再興戦略」のなかには、「大学」という言葉が61箇所も出てくるようだ。それだけにとどまらない。最新版の「日本再興戦略 2016 ―第4次産業革命に向けて―」では、なんと156箇所に及ぶ。これは大学への期待なのだろうか。そのあたりはよくわからないし、とりあえず具体的アプローチの不透明な政策をとりあえずなんでもかんでも大学に絡めてみたように見えなくもない。しかしなにはともあれ「2023年に世界ランキングで大躍進」などという夢物語も良いが、関係者は国立大学法人の現状を直視するべきだ。

2016年10月31日月曜日

「ネット選挙とソーシャルメディア――社会は,データ化で加速する 「イメージ政治」 をいかにして読み解くか」を遠藤薫先生の編著に寄稿しました。



「ネット選挙とソーシャルメディア――社会は,データ化で加速する 『イメージ政治』 をいかにして読み解くか」という論文を遠藤薫先生の編著に寄稿しました。遠藤先生と津田大介さんの対談など、いろいろと読むべきコンテンツの多い1冊と思います。専門書ですので、少々値段がしますが、手にとってみてください。

西田亮介,2016,「ネット選挙とソーシャルメディア――社会は,データ化で加速する 『イメージ政治』 をいかにして読み解くか」遠藤薫編著『ソーシャルメディアと<世論>形成』東京電機大学出版局,142-52.



2016年10月28日金曜日

#surfing #warmingup

Nishida, Ryosukeさん(@ryosukenishida)が投稿した写真 -



#smallmoon

Nishida, Ryosukeさん(@ryosukenishida)が投稿した写真 -



#surfboard 5'3" fish

Nishida, Ryosukeさん(@ryosukenishida)が投稿した写真 -

2016年10月27日木曜日

安倍昭恵さんとの「対談」と、その影響力、政治性について

安倍昭恵さんの2016年10月26日Facebook投稿より引用。
表題のとおり、昨日10月26日、安倍昭恵さんと総理公邸にて「対談」しました。ただ、ぼくの認識では安倍昭恵さんがFacebookの投稿で書かれている「対談」と一言でまとめるには、もう少し背景が複雑ですのでエントリを書いておくことにしました。
対談は一般的に、主催者と企画があって成立するものです。雑誌の場合は出版社、ネットの場合はIT企業の編集部が、企画を作成し、論者を検討し、対談を収録します。ぼくも何度も引き受けたことがありますし、安倍昭恵さんに関するものでいえば、今夏政治の界隈では話題になった『AERA』誌の2016年8月8日号などもその典型例でしょう。この号の大特集は「子のない人生」。その巻頭インタビューに安倍昭恵さんが登場しています。
それに対して、今回の「対談」は下記の記事の、ぼくの長いコメントがきっかけでした。
安倍昭恵首相夫人の独自活動は自民党メディア戦略の一環か?(週プレNEWS)- Yahoo!ニュース
ネットでも話題になった、安倍昭恵さんと三宅洋平さんの邂逅について、『週刊プレイボーイ』誌からのコメント依頼があり、引き受けたものでしたが、その2日後に谷崎テトラさんからFacebook経由で「安倍昭恵さんが会いたいと言っている」という連絡がありました。選挙や政治を扱う仕事柄、それなりに政治家とのいろいろな「コミュニケーション」は経験があります。「圧力」ととるかどうかはケース・バイ・ケースといわざるをえませんが、一定の時間がたってから電話や編集部に(たいてい記録を残しにくいからではないかと思しき電話で第一報がきます。最近はスマホなのですぐ録音できてしまうのですが…)連絡を取ってくることが大半です(編集部とネットで同時に「コミュニケーション」してきたもいらっしゃいましたが…)。なので、それなりに慣れているつもりではありますが、批判的な記事を書いてから随分な迅速に、ネット経由で、総理夫人本人の意向となると、さすがに例外尽くしということでいささかの驚きは禁じえませんでした。また社会起業家やメディア業界の知人たちのなかには安倍昭恵さんと面識のある方が何名かいるので風の便りで人物像については少し聞いていましたが、ちょっと身構えました。そこで、ぼくから面識のあるBLOGOS編集部にコンタクトを取って、コンテンツにできるのであれば、という条件でお引き受けしたというのが背景です。ですので、一般の対談とは性質が異なっているということは強調しておきたいところです。
ただし結論を先取りすると、詳細は2週間以内にはコンテンツとして公開されることになると思いますが、直接的な意味での「圧力」どころか、詰問口調での質問さえありませんでした。さらにいえばちょっと拍子抜けというか、安倍昭恵さんはそれほどぼくに関心を持っていたというわけでさえなかったという印象です。というのも、形式的には先方から呼ばれて「対談」したことになると思いますが、なぜか「対談」は主に谷崎テトラさんとぼくから質問するというかたちで進行しました。安倍昭恵さん本人からの質問はかなり少なく、ぼくのこれまでの仕事や主張に強い関心を持っておられる様子ではありませんでした。名刺代わりに『メディアと自民党』と『民主主義』を持参しましたが、これらの書籍の著者であることもあまり認識されていなかった様子でした(その意味でいえば「対談」して明らかになった安倍昭恵さんの関心との兼ね合いでいうなら、『無業社会』をお持ちすればよかったと少々後悔しています)。しかし意図せずというべきか、「対談」では、前述の『AERA』誌に掲載されたインタビューとはまったく違う角度から、安倍昭恵さんの素の「人となり」に迫る内容になっており、これはこれで広く読んでいただく価値のある実りあるものになったと確信しています。
考えてみれば、総理夫人の政治性と影響力というのは、なかなか興味深い論点です。政治家本人は自ら立候補して、選挙で有権者から選ばれるという意味において、主体性と正統性の比較的明確な契機があります。その一方で、総理夫人となるとどちらも明確ではありません。いわば「非公式な政治的影響力」とでもいうべきか、あるとき突如として本人の好みとはまた別の次元で、公人となることを要請されるわけです。日本の場合、選挙の応援演説に行くことも求められるでしょう。安倍昭恵さんも同様です。今夏の参院選においては、たとえば自民党の朝日健太郎議員の応援に立たれたようです。




こうした事実を考慮すれば、好むと好まざると「総理夫人」という看板は少なくともその立場にある限りは下ろすことができないといわざるをえないのではないでしょうか。多様な人のつながりや日本のファーストレディとして極めて新しいタイプの個人での積極的な活動も、多くの人が安倍昭恵さんの政治性や影響力を期待することでかたちになっている側面もあるだけに、その役割を引き受け、より生産的な活動につなげていっていただきたいと思います。安倍昭恵さんは「話して分かり合えない人はいないと信じている」という趣旨の発言を随所でされていますが、対象的にというべきかぼくは「原則として人は分かり合えないが、共存することもできる」と考えています。「対談」してもやはり我々は「分かり合えた」とはいえませんが、その「成果」は遠くないうちに広く読んでいただけるコンテンツになるはずですので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。

安倍昭恵さんと「対談」しました。



上の安倍昭恵さんのFacebookにあるとおり、昨日10月26日に総理公邸にて安倍昭恵さんと対談しました。下記の取材に出したコメントがきっかけです。せっかくなので『メディアと自民党』と『民主主義』を名刺代わりにもっていきました(名刺も持っていきましたが…)。ただし、ぼくの考えではもう少し背景が複雑なものなので、「対談」と表現するのが適切かどうかは議論の余地があると思います。そのうち別のエントリを書きます。

安倍昭恵首相夫人の独自活動は自民党メディア戦略の一環か?(週プレNEWS) - Yahoo!ニュース
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160910-00071741-playboyz-pol




2016年10月24日月曜日

2017年4月の博士課程進学希望者の皆さんへ

2017年4月の博士課程進学希望者の皆さんで、語学の公式スコアシートを持っていない人は今月末申し込み締切のTOEICを必ず受験してください。まだ大学から入試の詳細のアナウンスはでていませんが、昨年と同様の日程であれば、今回の受験で、他の書類や研究計画が出来上がっていればぎりぎり間に合うはずです。修士課程への進学についてはすでに来年4月進学の入試は終わっているので、9月以後の入学が可能です。社会人院生も受け付けています。また博士課程への進学を希望する場合には、日本学術振興会特別研究員への応募から指導します。いずれの課程を希望する場合においても、必ず事前に連絡のうえ、面談を受けてください。

研究室ホームページ(日本語版)
https://sites.google.com/site/ryosukenishidalaboratory/

near some beach

Nishida, Ryosukeさん(@ryosukenishida)が投稿した写真 -

2016年10月20日木曜日

第4回オフラインゼミは今週土曜日11時半〜@Synapseさんでの開催になります。


Synapseでオンラインサロンを始めてから、およそ4ヶ月が経過しました。驚くべきことに、ほぼ平日毎日更新を続けて、週1冊おススメの文庫、新書、雑誌等を紹介する「今週の1冊」も17回の更新となり、およそ50人ほどの皆さんが参加いただいています。毎月オフラインでの輪読も継続していて、過去2回は高原基彰さんの『現代日本の転機』を、今回からちくま新書『社会学講義』に入ります。4回目の開催は今月土曜日11時半〜神田のSynapseさんのオフィスになります。初月無料、特段オフラインゼミの参加費は必要ありませんので、今から参加いただいて様子見がてら見に来ていただくというのもありえます。チェックしてみて下さい。

「西田亮介の新書、文庫、雑誌で始めるリベラルアーツゼミ」
https://synapse.am/salons/0510/


2016年10月16日日曜日

少年院法第18条と第40条

先日、『無業社会』の共著者工藤啓さん、井村良英さんらのお誘いで、赤城少年院のスタディツアーに参加した。最近研究とまでは到底いかないが、触法少年と社会復帰の問題に関心をもっていて、幾度か少年院や鑑別所への視察、意見交換の機会をいただいている。なぜこの問題に関心を持つのかということや、この分野の現状と「誤解」については、過去のエントリなども一読してほしい。
少年犯罪と社会復帰の「誤解」と「常識」をこえてーー茨城農芸学院再訪(西田亮介)- Y!ニュース
少年院と少年犯罪について(西田亮介)- Y!ニュース
赤城少年院のスタディツアーでも教わったことが多いので、いずれまとめたいが、昨日(10月13日)に赤城少年院や茨城農芸学院を所管する東京矯正管区の皆さん方、それから支援に携わろうという民間事業者の皆さんと意見交換させて頂く機会があった。そこで少年院法の第18条と第40条について教えていただいたので、以下においてその理念と経緯などを簡単にご紹介したい。
ところで、そもそも少年院法の前提として、少年法は第1条で次のように定めている。
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条  この法律は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。
(少年、成人、保護者)
第二条  この法律で「少年」とは、二十歳に満たない者をいい、「成人」とは、満二十歳以上の者をいう。
2  この法律で「保護者」とは、少年に対して法律上監護教育の義務ある者及び少年を現に監護する者をいう。
出典:少年法第1条、同第2条
近年刑事処分の年齢引き下げも行われたが、少年法は、原則として少年の保護に重点を置いている。これは戦後、つまり1949年に少年法ができてからの基本的な考え方になっている。少年院法もこれをうけて、次のように在院者≒少年の改善更生と社会復帰を目的としている。
(目的)
第一条  この法律は、少年院の適正な管理運営を図るとともに、在院者の人権を尊重しつつ、その特性に応じた適切な矯正教育その他の在院者の健全な育成に資する処遇を行うことにより、在院者の改善更生及び円滑な社会復帰を図ることを目的とする。
出典:少年院法第1条
さらに近年では、社会に開かれた処遇や矯正教育が政策目標になっている。2009年に発覚した広島少年院での暴行事件がきっかけとなって設置された「少年矯正を考える有識者会議」の提言と、同会議が2010年に公開した「少年矯正を考える有識者会議提言――社会に開かれ,信頼の輪に支えられる少年院・少年鑑別所へ」)がきっかけとされる。なお同報告書は日本の少年法、少年院法の基本的な理念と経緯、施策等を知ることができるので、一読をおすすめしたい。
元首席専門官に有罪判決 広島少年院暴行「矯正教育を逸脱」:日本経済新聞
処遇と矯正教育を社会に開くときの具体的な根拠となるのが、少年院法第18条と第40条である。そこには次の様に記されている。
(関係機関等に対する協力の求め等)
第十八条  少年院の長は、在院者の処遇を行うに当たり必要があると認めるときは、家庭裁判所、少年鑑別所、地方更生保護委員会又は保護観察所その他の関係行政機関、学校、病院、児童の福祉に関する機関、民間の篤志家その他の者に対し、協力を求めるものとする。
2  前項の協力をした者は、その協力を行うに当たって知り得た在院者に関する秘密を漏らしてはならない。
出典:少年院法第18条
(矯正教育の援助)
第四十条  少年院の長は、矯正教育の効果的な実施を図るため、その少年院の所在地を管轄する矯正管区の長の承認を得て、事業所の事業主、学校の長、学識経験のある者その他適当と認める者に委嘱して、矯正教育の援助を行わせることができる。
2  少年院の長は、在院者(刑法 (明治四十年法律第四十五号)第二十八条 、少年法第五十八条 又は国際受刑者移送法第二十二条 の規定により仮釈放を許すことができる期間を経過していない受刑在院者を除く。以下この条において同じ。)の円滑な社会復帰を図るため必要があると認める場合であって、その者の改善更生の状況その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、少年院の職員の同行なしに、その在院者を少年院の外の場所に通わせて、前項の規定による援助として在院者に対する指導を行う者(次項及び第五項第四号において「嘱託指導者」という。)による指導を受けさせることができる。
3  在院者に前項の指導(以下「院外委嘱指導」という。)を受けさせる場合には、少年院の長は、法務省令で定めるところにより、当該嘱託指導者との間において、在院者が受ける院外委嘱指導の内容及び時間、在院者の安全及び衛生を確保するため必要な措置その他院外委嘱指導の実施に関し必要な事項について、取決めを行わなければならない。
4  少年院の長は、在院者に院外委嘱指導を受けさせる場合には、あらかじめ、その在院者が院外委嘱指導に関し遵守すべき事項(以下この条において「特別遵守事項」という。)を定め、これをその在院者に告知するものとする。
5  特別遵守事項は、次に掲げる事項を具体的に定めるものとする。
一  指定された経路及び方法により移動しなければならないこと。
二  指定された時刻までに少年院に帰着しなければならないこと。
三  正当な理由なく、院外委嘱指導を受ける場所以外の場所に立ち入ってはならないこと。
四  嘱託指導者による指導上の指示に従わなければならないこと。
五  正当な理由なく、犯罪性のある者その他接触することにより矯正教育の適切な実施に支障を生ずるおそれがある者と接触してはならないこと。
6  少年院の長は、院外委嘱指導を受ける在院者が第八十四条第一項に規定する遵守事項又は特別遵守事項を遵守しなかった場合その他院外委嘱指導を不適当とする事由があると認める場合には、これを中止することができる。
出典:少年院法第40条
処遇については個々の少年院、矯正教育については管轄の矯正管区の裁量で、官民協働のアプローチを採用することができるようになっている。先のエントリでも記したように、凶悪犯罪も含めて少年事件の件数は激減している一方で再犯率は概ね横ばいのままである。言い換えると、量的には現状の施策が効果をあげていることは疑い得ない一方で、さらに質的な改善、言い換えると個々の少年の状況、環境に応じたきめ細やかな処遇、矯正教育のあり方が求められている。
このとき、少年と彼ら彼女らの置かれた環境の多様性を念頭におくならば、必要な資源をすべて少年院のみで提供するということは困難といわざるをえない。そこでそれらが復帰先となる社会における多様なステイクホルダーとの官民協働によって提供されるというのはきわめて自然なかたちでもあるように思われる。これまで視察させていただいた限りにおいて控えめにいってみても、少年院で提供されているプログラムは重機の資格取得支援など伝統的なアプローチに限られており、また教育の機会という観点でも事実上かなりの制約を受けているように見える。それらが新たに提供されることで再犯防止策が充実するのであれば、それは社会にとってもまたメリットがあるといえる。
ただし現状、民間事業者による資源の提供は、この分野に根強く存在するある種の「誤解」やラベリングによって、言い換えるとコンプライアンスやブランドイメージを重視する昨今の企業社会の状況のなかで、暗黙の、しかしかなり強い制約を受けているようにも思われる。それでも前述のように、官民協働を通じた処遇や矯正教育のあり方を考えようという萌芽もある。その展開を期待をもって注視したい。

2016年10月14日金曜日

東工大ニュースに社会情報学会優秀文献賞の受賞がコメントとともに掲載されました。

東工大ニュースに社会情報学会優秀文献賞の受賞が短いコメントとともに掲載されました。『メディアと自民党』、とくに電子書籍がコンスタントに出続けているようです。この延長線上にある論文を用意していて、おそらく年末には公開されると思いますので、そちらもよろしくお願いします。

西田亮介准教授が社会情報学会優秀文献賞を受賞 | 東工大ニュース | 東京工業大学
http://www.titech.ac.jp/news/2016/036472.html


2016年10月12日水曜日

今月の #クロス 出演は19日(水)

今月のTokyo MX『モーニングクロス』出演は、来週19日(水)。テレビか、アプリ「エムキャス」やWebでどこでも視聴可能です。

https://mcas.jp/

2016年10月8日土曜日

「自民党の徹底的なメディア戦略に対抗できなければ、改憲発議後も野党・マスコミに勝ち目はない」『SIGHT』64: 118-33.

今や不定期刊行になってしまった『SIGHT』誌に、長いインタビューを収録してもらいました。なぜかリベラル系の雑誌とは縁遠いので貴重な機会でした。大昔、宮台真司先生が、「信じろ、自民党はきっと倒せる」というような特集で、やはり長いインタビューを載せていらっしゃったことを唐突に思い出しました。

西田亮介,2016,「自民党の徹底的なメディア戦略に対抗できなければ、改憲発議後も野党・マスコミに勝ち目はない」『SIGHT』64: 118-33.


2016年10月4日火曜日

『Voters』に「2016年参院選におけるネット選挙とその特徴」という短い論文を書きました。



明るい選挙推進協会が提供する情報誌『Voters』に、2016年参院選のネット選挙の短い振り返りを書きました。いずれPDFで公開されるはずです。

たとえば、2012年におけるネット選挙解禁前の選挙とSNS動向についての総括は、下記のNo.12に収録されています。

西田亮介,2012,「2012年衆院選に見るソーシャルメディアの可能性と課題」『Voters』12: 6-7.
(リンク先PDF)
http://www.akaruisenkyo.or.jp/wp/wp-content/uploads/2013/06/voters12.pdf

2016年10月2日日曜日

2010年代の自民党の情報発信手法と戦略に関する研究

社会情報学会の「世論」特集の推薦論文として、下記の論文を書きました。『メディアと自民党』の延長線上にある仕事になります。あわせてどうぞ。

西田亮介,2016,「2010年代の自民党の情報発信手法と戦略に関する研究」『社会情報学』5(1): 39-52.
(リンク先PDF)
http://www.ssi.or.jp/journal/pdf/Vol5No1paper3.pdf

2016年9月30日金曜日

【修正】2016年10月8日(土)、10月9日(日)13時〜15時で進学相談(要事前予約)を受け付けます。

2016年10月8日(土)、10月9日(日)13時〜15時で進学相談(要事前予約)を受け付けます。この日は工大祭(学祭)ですので、あわせてキャンパスの雰囲気に触れてもらうとよいように思います。研究室に関する記述をよく読んだうえで、希望者は連絡してください。なお学振特別研究員の応募の指導も可能ですので、該当する人はあわせてその旨記して連絡するようにしてください。以下、研究室のサイトです。

【修正】
10月7日、8日と掲載していましたが、正しくは10月8日、9日でしたので、訂正しました。

https://sites.google.com/site/ryosukenishidalaboratory/home
(日本語ver.)

https://sites.google.com/site/ryosukenishidalaboratory/ryosuke-nishida-lab
(English ver.)

2016年9月28日水曜日

BLOGOSにて、18歳選挙権に対応して実施された主権者教育についての座談会「 今、どんな「政治教育」が行われているのか?高校の先生に聞いてみた」が公開されました。

BLOGOSにて、18歳選挙権に対応して実施された主権者教育についての座談会「 今、どんな「政治教育」が行われているのか?高校の先生に聞いてみた」が公開されました。高校の社会科教員の先生方、原田謙介さんとの座談会です。しかし、そもそもこの座談会への参加の許可がおりない先生がいたほど、主権者教育、政治教育というのがセンシティブな主題であることがわかります。ぼくは、学校現場の裁量と創意工夫、試行錯誤を擁護するために、明確に禁止事項を定めるべき、言い換えると、それ以外は原則として教育現場に委ね、管理職と複数の社会科教員でカリキュラムとコンテンツをマネジメントすべきということを主張しています。重要な主題ですので、ご一読下さい。

今、どんな「政治教育」が行われているのか?高校の先生に聞いてみた
http://blogos.com/article/191996/

2016年9月27日火曜日

今月(2度目の) #クロス

2016年9月26日月曜日

「西田亮介の新書、文庫、雑誌で始めるリベラルアーツゼミ@Synapse」第3回オフラインゼミを実施しました。

西田亮介の新書、文庫、雑誌で始めるリベラルアーツゼミ@Synapse

「西田亮介の新書、文庫、雑誌で始めるリベラルアーツゼミ@Synapse」第3回オフラインゼミをSynapseさんの事務所で実施しました(下の写真は参加者の読書メモ。本人掲載確認済)。今回はスペシャルゲストに著名予備校講師であり、作家としても知られる西きょうじ先生が来てくださいました。西先生とは京都に勤務していたときに知遇を得て、何度かイベントなどでご一緒させていただいてきましたが、このオンラインサロンにも普通に(?)参加いただいていますが、今回は軽井沢から遊びに来てくださいました。西先生との教養や読書に関するトークから始まり、通常の輪読へ。社会学者高原基彰さんの『現代日本の転機』を読んでいましたが、Kさんの詳細な読書メモで活発な質疑が展開しました。とはいえ、大学のゼミとは違い、毎回参加が義務とか休むと怒られたりというわけでもありませんので、まだ参加したことがないという人もお気軽にどうぞ。なんとなくTipsとして、オンラインサロンはむしろ高額料金を課したほうがプレミア感が出て参加者が増えるという話を聞き、ちょっとした驚きでしたが、とはいえ、ぼくは初月無料、社会人1500円、学生500円で続けていますので、興味を持った人はお気軽にどうぞ。

https://synapse.am/contents/monthly/0510




Nishida, Ryosukeさん(@ryosukenishida)が投稿した写真 -

2016年9月20日火曜日

西田亮介「Ride on the politics」に、政治アイドル町田彩夏さんにゲスト出演いただきました。

東京、大阪等を除く、JFN系列月曜朝5時半から放送中の、西田亮介「Ride on the politics」に、2週にわたって政治アイドル町田彩夏さんにゲスト出演いただきました。 JFNがPodcastから撤退してしまいましたので、聴き逃したという人や、都市部の皆さん、町田さんのファンの皆さんは、お手数ですが、JFNのアプリ「JFN Park」をダウンロードし、会員登録することで音声コンテンツを聞けますので、よろしくお願いします。なお、この番組は、10月から火曜日に移動しますので、よろしくお願いします。余談ですが、先日北海道に学会参加したときに、青森で聞いてくださっているというリスナーの先生がいらっしゃったのがちょっとした驚きでした。

http://www.jfn.co.jp/park/

2016年9月19日月曜日

「西田亮介のリベラルアーツゼミ読書会レポート!新書から学ぶリベラルアーツ」

先月、Synapse編集部で開催したリアル読書会の様子を、Synapse編集部さんがレポートしてくれています。ちょっと誤植が目立つのはご愛嬌ですが、おそらく豪華ゲストを交えて今週末には第2回を開催します(今からの参加でも参加できます)。ぼくのサロンの特徴は、さまざまな専門家や編集者、ライターが参加してくれているところでしょうか。とはいえ、大学生もいますし、みなさん、お気軽にどうぞ。

西田亮介のリベラルアーツゼミ読書会レポート!新書から学ぶリベラルアーツ
http://magazine.synapse.am/news/event-0510-nishidaryousuke

2016年9月18日日曜日

(わたしの紙面批評)人工知能を巡る報道 積極的な問題提起と議論の牽引を 西田亮介さん


昨日、土曜日に、わたしの紙面批評の担当回が公開されました。人工知能について取り上げてみました。

(わたしの紙面批評)人工知能を巡る報道 積極的な問題提起と議論の牽引を 西田亮介さん:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/DA3S12563187.html

2016年9月17日土曜日


ドローンを利用したのか(ただとても安定しているので違う気がする)、ちょっと高いアングルから撮影していて、デーン・レイノルズがボトムターンでどこまで下りているかといったことまでわかる(わかったからといって真似できるわけでもないけれども…)。


デーンが試合に出なくなってから、棒立ち風にトリムしながら、一気に加速していくシーンがよく見られる。燻し銀的なスタイルといいつつ、まだ30歳くらいなんだよね、確か。

2016年9月16日金曜日

『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』



風の噂でキツいとは聞いていたけれど、やっぱり仕事しながらチェックしてしまった。前半意外と普通じゃない?と思っていたら、ラスト小一時間で急転直下D級映画になってしまった…が、そういう点も含めてアメコミなんじゃないでしょうか、などという意味で、そんなにキライじゃなかった(笑)

2016年9月15日木曜日

『モーニングクロス』の「オピニオンクロス」で被災者支援法の話題を取り上げました。


月曜日に京都の集中講義直前に、TOKYO MX『モーニングクロス』に出演しました。オピニオンクロスでは、被災者支援法の問題を取り上げました。

被災者支援法:「改善を」8割…制度とニーズに差 - 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160911/k00/00m/040/138000c

阪神・淡路大震災に端を発する、日本の被災者支援ですが、自助の原則で構成されています。東日本大震災以後、より顕著になったように、果たしてそのままで良いのか疑問も投げられているように思います。ビジネスや生活の継続、再建にあたって、そして人々の安心の調達にとってです。現場からの距離も近く、裁量を持っているはずの基礎自治体からの声に、より耳を傾ける必要があるのではないでしょうか。

流行ってたのと、格安で見つけたので、入手。意外に重量感がある、というより、普通のポリエスターの板より重たい気がした。すごい浮力でゆったりしているけど、意外と乗れる。もうちょっと乗ってみたい。

2016年9月13日火曜日

『メディアと自民党』(角川新書)を社会情報学会 2016年度優秀文献賞に選出いただきました。

『メディアと自民党』(角川新書)を社会情報学会 2016年度優秀文献賞に選出いただきました。実務の方々にはよく同書を持って訪ねてきていただくのですが、アカデミズムでも評価いただけたことを嬉しく思います。次の仕事も準備していますが、同書も引き続きよろしくお願いします。

2016年9月11日日曜日

『週刊プレイボーイ』オンライン版にコメントしました。

『週刊プレイボーイ』のオンライン版の取材に長めにコメントしました。そうしたら…いろいろと学びがありましたね。

安倍昭恵首相夫人の独自活動は自民党メディア戦略の一環か?(週プレNEWS) - Yahoo!ニュース
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160910-00071741-playboyz-po

2016年9月9日金曜日

先日のカタリバ大学

先日一緒に登壇したカタリバ大学の内容を与良さんが記事にしていらっしゃった。やはり政治イシューだからか、参加していた高校生たちは熱心に質問、議論していたが、過去に登壇した社会問題の会よりだいぶ少なかった気がする。最近、「政治は関係ない」という生活者の認知は、無知か、もう少しソフトにいってみても誤解に基づくものだ、とちょっとだけアジテーション成分を混ぜてみているのだけれど、どうか。

熱血!与良政談:「初の18歳」の後が肝心=与良正男 - 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160907/dde/012/070/006000c

2016年9月8日木曜日

京都精華大学集中講義

Nishida, Ryosukeさん(@ryosukenishida)が投稿した写真 -

今年も今週来週で京都精華大学の集中講義「マーケティング論」を担当しています。 3年目でしょうか。本務校とはまったく違う環境からの学びは多いです。とはいえ、履修者は実質的に3名、京都が本務先でもなくなったので、今年で最後になるでしょう。

2016年9月7日水曜日

縦割りの18歳選挙権、被選挙権引き下げ、ネット選挙を超えた公選法の総合的見直しを検討せよーー「【18歳選挙権:若者X政治参加X主権者教育】「18歳からの選択:18歳選挙権と今後の主権者教育と政治参加&社会参加について」~7月の参議院選挙でのデータ分析を踏まえて~」登壇を終えて



先週末「【18歳選挙権:若者X政治参加X主権者教育】「18歳からの選択:18歳選挙権と今後の主権者教育と政治参加&社会参加について」~7月の参議院選挙でのデータ分析を踏まえて~」というちょっと名前の長いイベントに登壇していました。18歳選挙権と主権者教育に関するイベントでした。

ここでのぼくの発言は、下記において、選挙ドットコムさんが端的にまとめてくださっています。友人の某著名選挙コンサルタント氏がキーボードを叩いていたので、スライドもなしに早口で話したぼくの話を実に的確に要約いただきました。ありがとうございました。

ぼくの議論はいろいろなところで書いたり、話したりしているものとほぼ同じだと思いますが、ところで最後の最後に、司会の田幸さんの指名で、某著名選挙コンサルタントこと松田馨さんがおっしゃっていたことが印象的です。松田さんの指摘はまとめると公選法が肥大化、複雑化し過ぎ、裁量の範囲があまりに大きくなりすぎていて、選管の判断も各所で一貫しているとはいえず総合的な見直しが必要だ、というものでした。

確かに公選法どころか、衆参の選挙法時代から付け足しながら現在に至っている公選法はあまりに複雑で実務の専門家を除くとその概要を把握、理解することすら難しくなっています。ぼくもまったくもって松田さんに同意しますし、ぼくもネット選挙解禁のころからその議論に言及していました(たとえば拙著『ネット選挙 解禁がもたらす日本の変容』等参照のこと)。最近の議論でいえば、そもそも18歳選挙権の問題と被選挙権年齢の引き下げ、ネット選挙、供託金問題、政治資金の問題などがすでに各論として別々に論じられていることも、本来の主旨からいえばあまり望ましいあり様とは思えません。総合的な視点が必要です。

むろん現職の政治家からすれば、これまで勝ってきたルール、勝利した経験のあるルールの変更は大変抵抗感のあるものでしょう。だからこそ世論の盛り上がりと選挙のない平時から息の長い議論が必要だともいえます。最近は「選挙以外にも、政治はある」という言い方が流行っていますが、「選挙でしか変えられない政治もある」「選挙が政治参加の象徴的機会である」という原則を思い出すなら、選挙と選挙を規定する公選法がもっとも影響の大きなボトルネックであり、政策変更のセンターピンであることは今も昔もなんら変わっていません。また1950年代、それどころかそれ以前から継ぎ足しつつ使ってきた古いレジームの象徴ともいえます。選挙と公選法の現代的なあり方に関する総合的な議論が必要ではないでしょうか。

(以下、松田さんによる当日のぼくの発言の実況です)

(ここには注釈と訂正が必要でして、ぼくが言及したかったのは総務省の『学校教育と連携した啓発事業実態調査報告書』(リンク先PDF)における選管の出前授業のことです。要は公的機関で、比較的手軽な外部者であり、文科省教材でも言及される選管を用いた出前講義を受けた高校生でさえこの水準に留まっているということでした)